モダンサッカーの教科書Ⅳ

 

今回は読書感想文です。

昨年の11月に発売した本なので、すでに読了している方も多いかもしれませんが、感想を残しておこうかと思います。

タイトルに「Ⅳ」と書いてあるようにこの本はモダンサッカーの教科書シリーズの第4弾です。

イタリアのプロクラブでコーチとして活動しているレナート・バルディと筆者の片野さんが対話形式で書かれている本です。

サクッと読めるかどうかはその人の知識によると思いますが、対話形式なので読みやすいとは思います。

個人的にこの本を読んで感じたのは、フットボールというスポーツは複雑で面倒だということです(笑)

どんなチーム戦術を選択をするのかは、自分たちがどんな特徴の選手がいるかだけでなく、相手がどんな選手がいるかが大きく影響してきます。

相手関係なく自分たちのやりたいことを貫くということができるのは、一部のビッグクラブくらいしか選択するのは難しいでしょう(結果を求めるのであれば)。

あと、読んでいてJリーグでうまくいっていないクラブのことも考えました。

名指しで申し訳ないのですが、アルベルが指揮していたときのFC東京と現在進行形でポヤトスが指揮しているガンバ大阪です。

この両チームの共通点として、質の高い選手が揃っている(とクラブは考えている)のに望んだ結果が得られないということです。

この質の高い選手が揃っているというのは、ある意味正しく、ある意味間違っていると思います。

というのも、やりたいスタイルによって評価が変わる特徴をもった選手が多いと思います。

アルベルもポヤトスも、大まかに括るとスペイン流のポゼッションスタイルを特徴とする監督です。

そのやりたいスタイルに対して、必要な特徴をもった選手が”質が高い”と言われると思うのですが、個人的にはその特徴をもった選手は少ないように見えます。

しかし、東京の場合、それを後天的に身につけることができる(できた)と考えたのか、アルベル体制2年目のときにさほど大きな補強はありませんでした。

結果は、中身も結果も悪く、途中解任という結末でした。

この本では、個人戦術にも言及するところがあるのですが、多くの選手の個人戦術をアップデートしながら、チーム戦術を成熟させ、さらに結果を出すというのはかなり難しいです。

なので、アルベルやポヤトスのスタイルを尊重するのであれば、すでに必要な特徴を備えている選手を一定数外から連れてくることが必要不可欠です(ただ、同時に日本人でそういった特徴を備えている選手がそもそも少ないという問題にもぶつかるのですが…)。

クラブが今いる選手のことを(幅広くなんでもできるという意味で)質が高いと勘違いしていると、うまくいかなかったときに先に切られるのは監督で、今いる選手の特徴に合った実績のある日本人監督を連れてきて、内容と結果が向上した(ように感じる錯覚)ということが度々見かけると個人的に思っています。

途中から、あまり本の中身とは関係のないことになったかもしれませんが、自分の中で考えていることに対して刺激を与えてくれる本かと思うので、まだ未読の方がいたらおすすめです。

<おわり>