東京V監督が重要視する判断基準と哲学 ロティーナ「成長プロセスを見てほしい」

東京V監督が重要視する判断基準と哲学 ロティーナ「成長プロセスを見てほしい」

抜粋元:https://sports.yahoo.co.jp/column/detail/201803130005-spnavi?p=1

――昨季は前年比で失点数を12減らしました。守備については具体的にどのような点を改善したのでしょうか?

 まずはオーガナイズ。サッカーにおいては原理原則があるので、まず守備のオーガナイズを設定するのがファーストアプローチになる。続いて個人のミスの改善に着手した。ただし、意外に聞こえるかもしれないがそうした守備の指導、練習は全体の2割にすぎない。

 私は全体の8割を攻撃の練習に費やしている。攻撃の改善というのはなかなか目に見える現象として出にくく、守備の方が出やすいため注目される。攻撃を改善するためにはフィロソフィーと同時に、タレント性が必要だ。守備においては、確固たるオーガナイズがあればどのチームもある程度のレベルまでは到達できるものだ。

――これだけ意欲的な選手ぞろいの国、チームでの指揮は初めてですか?

 初めてだ。時として、選手が居残り練習に励むことを止める必要があるほどだ。それに関連して、選手にとって休養はとても重要なものだ。週末の試合で最大限のパフォーマンスを発揮できるよう日々の練習で負荷を調整し、しっかりと休む必要がある。休養は練習と同じくらいに重要なことだが、日本ではまだその理解が不足しているように思う。練習不足と練習超過は同じレベルでダメなのだ。

――昨季からポジショニングや個人戦術など本来は育成年代までに身につけておくべき項目の指導にも時間を割いて行っている印象を受けますが、実際のところどうなのでしょう?

 実際、今日の練習でも映像を見ながら特定の選手に対して個人戦術の話をした。試合においてはプレーではなく判断のミスに気づかない選手もいるので、個人戦術に立ち返って一つ一つ丁寧に指導していくことはプロの世界でも必要だと思う。逆にいいプレー、われわれが考える正しいプレーをしたことを認識していない選手もいるので、その評価もフィードバックするようにしている。サッカーにおいて判断はとても重要であり、選手がピッチ上で複数の解決策を持って正しい判断を選ぶことも大切だ。

 選手の判断については、日本とスペインで指導のアプローチを変えている。スペインでは選手に何をしてはいけないかという基準を植え付けるようにしていたが、日本ではこの状況では何をすべきかという基準を示すようにしている。ただし、サッカーにおいて同じ状況というのは発生しない。説明すると難しく聞こえるがとてもシンプルなことで、同じプレーというのは二度と起こらない。

 選手が理解すべきは、似た状況が発生する可能性があるということだ。中にはプロの世界に入ってきた選手はもう全てを知っているものだと理解して指導する監督もいるが、私はそうではないと考えている。実際、プレミア、ブンデスラ・リーガの試合を見ても個人戦術、判断のミスは数多く見える。たとえプレーがうまくいったように見えても実際には正しい判断、プレーの実行プロセスを踏んでいないケースがある。そこで監督はきちんと修正しなければいけない。

 選手のタレント性、能力でピッチ上での問題を一時的に解決できていたとしても、最終的に正しい判断でプレーを支配できる選手にならなければ競争の激しいエリートの世界で生き残っていくことはできない。

<抜粋おわり>