アルベル監督のインタビュー(自分用まとめ)

昨シーズンは清水と浦和を追っかけました。今シーズンもその両クラブの動向には注目しながらも、個人的に絶対に追おうと思っているのが東京です。 理由は、清水と浦和を追ったのと同じでそれまでクラブになかった文化のフットボールを取り入れようとしたときにどういうことが起こるのかが気になるからです。 今シーズンの東京の変化を語るうえで外せないのは新監督であるアルベルです。 4シーズン監督を務めた前任の長谷川健太監督の東京は、カウンターをメインとしたスタイルでしたが、アルベル監督はポゼッションをメインにボールを運んでいくスタイルです。スタイルとしてはほぼ真逆であり、非常に厳しいチャレンジになるであろうことは予想されます。 ありがたいことにクラブが公式にアルベル監督のインタビューを公開してくているので、気になった発言を引用し、そこからさらにわかりやすいように箇条書きしてピックアップしました。 誰かに読んでほしいというよりも、個人的に後で振り返る用です。 アルベル プッチ オルトネダ監督インタビュー
Q、新潟時代の試合も拝見していましたが、改めて、FC東京でどのようなサッカーをめざすつもりでしょうか? A、(試合を見てくれていて)アリガトウ。私がかつて仕事をしたバルサは、ポジショナルプレーを重視したサッカーで、攻撃でも守備でも、ボールとともにどうするかを求め続けています。バルサが表現してきたスタイルは、日本人の長所や特徴とマッチしていると思います。日本人には賢い選手が多い。なぜそのプレーが求められるのか、なぜその現象が起こるのか、しっかりと理解してプレーする選手が多い印象です。世界の強豪国と比べると、フィジカルでは劣っていますが、一方で、テクニックのレベルはとても高い。さらにスピードもある。献身的な性格も持ち合わせているので、プレスを掛けてボールを奪うことも得意です。
バルサは、ポジショナルプレーを重視したサッカーで、攻撃でも守備でも、ボールとともにどうするかを求め続けている。 ・バルサが表現してきたスタイルは、日本人の長所や特徴とマッチしていると思う。 ・日本人には賢い選手が多い。なぜそのプレーが求められるのか、なぜその現象が起こるのか、しっかりと理解してプレーする選手が多い印象。 ・世界の強豪国と比べると、フィジカルでは劣っている。 ・一方で、テクニックのレベルはとても高い。さらにスピードもある。献身的な性格も持ち合わせているので、プレスを掛けてボールを奪うことも得意。
Q、まさしくバルサのスタイルに求められるものばかりですね。 A、私は常々思っています、なぜ日本人はバルサのようなプレーを追求しないのか、と。バルサのスタイルが日本人に合っているということは、新潟で証明できたと思います。ほとんどの選手がそれまで経験したことがなかったにもかかわらず、2年目になると、かなり表現できるようになりました。さらに重要なのは、そうしたプレースタイルをファン・サポーターが気に入ってくれたことです。多くの観客がスタジアムに足を運んでくれたのです。新潟で表現したサッカーを、日本の首都である東京でも表現できたら、こんなに素晴らしいことはありません。
バルサのスタイルが日本人に合っているということは、新潟で証明できたと思う。 ・ほとんどの選手がそれまで経験したことがなかったにもかかわらず、2年目になると、かなり表現できるようになった。
Q、新潟時代のサッカーは、攻撃と守備が同時にデザインされているように見えました。さらに守備でブロックを組む際と、攻撃でビルドアップするときでは、形が大きく変わるのも特徴的でした。 A、攻撃においても守備においても、全員がひとつのブロックとしてプレーしなければなりません。私の国ではそれを『全員で一緒に旅をしろ』と表現します。ポゼッション(ボールの保持)も大切ですが、それ以上に重視していたのは、ポジション(選手の立ち位置)です。ポジションとポゼッション、このふたつによって、より良い攻撃が実現できます。また、サッカーにおいて、守備の仕方は大きく分けてふたつあります。スペースを守るやり方と、ボールを保持することで守るやり方です。ヨハン・クライフが言っていたとおり、我々がボールを保持している限り、相手は攻撃ができません。
・攻撃においても守備においても、全員がひとつのブロックとしてプレーしなければならない。私の国ではそれを『全員で一緒に旅をしろ』と表現する。 ・ポゼッション(ボールの保持)も大切ですが、それ以上に重視していたのは、ポジション(選手の立ち位置)。 ・ポジションとポゼッション、このふたつによって、より良い攻撃が実現できる。 ・サッカーにおいて、守備の仕方は大きく分けてふたつある。スペースを守るやり方と、ボールを保持することで守るやり方。ヨハン・クライフが言っていたとおり、我々がボールを保持している限り、相手は攻撃ができない。
Q、つまりボールを持つことが、イコールいい守備ということですね。 A、そうです。一人ひとりがいいポジション取りをすることで、より良いポゼッションができれば、より多くのチャンスをつくることができます。攻撃において良いポジション取りができていれば、ボールを奪われたときに、良い形でボールを奪いにいける。それが私の求めるポジション取りです。そして守備では、チームのために汗をかいて走らなければなりません。それができない選手には、プレーさせません。もし、自分は走る必要性がないくらい素晴らしい選手だと思っている選手がいるなら、私はその選手にグアルディオラの電話番号を渡そうと思います(笑)。
・一人ひとりがいいポジション取りをすることで、より良いポゼッションができれば、より多くのチャンスをつくることができる。 ・攻撃において良いポジション取りができていれば、ボールを奪われたときに、良い形でボールを奪いにいける。 ・守備では、チームのために汗をかいて走らなければならない。それができない選手には、プレーさせない。
Q、マンチェスター・シティに行くことを勧めると(笑)。 A、ただ、実際には世界中を見渡しても、走らなくていい選手はひとりしかいない。リオネル・メッシのことです。つまり、東京では全員が走らなければなりません。それプラス、相手がハイプレスを仕掛けてきても、怖がらずにしっかりパスを繋いでほしいとも思っています。新潟でも1年目の最初はボールを次々とクリアしていました。それが2年目になると、クリアせずにキープし、味方にパスを繋ぐようになりました。東京の選手にはより短期間で変わってもらいたいと思います。
・東京では全員が走らなければならない。 ・相手がハイプレスを仕掛けてきても、怖がらずにしっかりパスを繋いでほしい。 ・新潟でも1年目の最初はボールを次々とクリアしていた。それが2年目になると、クリアせずにキープし、味方にパスを繋ぐようになった。東京の選手にはより短期間で変わってもらいたい。
Q、2021シーズンの東京のゲームを何試合かご覧になったようですが、2022シーズンに期待している選手、興味深い選手はいましたか? A、東京の試合はたくさん観ましたが、この目で実際に選手を見てみなければ、分からないものです。まずは白紙の状態で選手を見たいと思います。ミーティングを行い、選手たちと明確なコミュニケーションを取りたいと思います。私は選手と個別に話すことを好むタイプです。分からないことがあれば聞きに来てほしいし、私もアドバイスを送りたい。オブラートに包まずストレートな表現をするタイプなので、ときに耳の痛いこともあるでしょう。若手、ベテラン関係なく、思ったことは選手に伝えていきたいと思っています。
・選手と個別に話すことを好むタイプ ・オブラートに包まずストレートな表現をするタイプ
Q、2021シーズンの新潟は素晴らしいサッカーを繰り広げていましたが、最後にやや失速してしまいました。その原因はどこにあると思いますか? 東京も2019年、素晴らしいシーズンを送りながら失速してタイトルを逃しましたが、東京でも生かせる教訓はありますか? A、東京で起きたことは分かりませんが、新潟で起きたことは説明できます。2021シーズンの9割以上の試合において、チャンスの数やシュート数で相手を上回りながら、決定力不足によって勝点を取りこぼし続けたことが、失速の主な原因だと思います。新潟は明らかにどのチームよりも攻撃的でしたが、そうしたチームがあれだけ引き分けの多い理由を説明するのは難しい。シュート本数が20対3だったにもかかわらず、スコアが1-1という試合もありました。
・(新潟の)2021シーズンの9割以上の試合において、チャンスの数やシュート数で相手を上回りながら、決定力不足によって勝点を取りこぼし続けたことが、失速の主な原因。
Q、東京には素晴らしいストライカーが揃っています。 A、決定力が高いことを、彼らは改めて証明しないといけません。というのも、2022シーズンは狭いスペースで決定力を発揮することが求められるからです。カウンターアタックはシュートを放つ際にスペースがあるものですが、2022シーズンは相手を押し込むゲームが増えるでしょう。そうなると、相手ゴール前のスペースは狭くなります。それでも決められるかどうか。もちろん、彼らにはすごく期待しています。若手にも期待しています。日本人は年齢を気にする傾向がありますが、私は若手を起用することを躊躇しません。ベテランをリスペクトしていますが、ピッチ内で重要なのは年齢ではなくパフォーマンスです。35歳であろうと、15歳であろうと関係ありません。
・2022シーズンは狭いスペースで決定力を発揮することが求められる。
Q、久保建英も16歳でJ1のピッチに立ちました。 A、日本には才能あふれる若手がたくさんいるので、アカデミーの選手にも注目したい。いい選手がいれば、トップチームでチャレンジさせたいと思っています。一方、外国籍選手は、日本の選手では与えられないものをチームに与えなければなりません。それは私自身も同じです。日本の監督でも提供できるものしか提供できないのであれば、私がチームを率いる必要はありません。それに、私のあとを継ぐ監督は、日本人監督でなければいけないとも思っています。
・日本には才能あふれる若手がたくさんいるので、アカデミーの選手にも注目したい。いい選手がいれば、トップチームでチャレンジさせたい。 ・私のあとを継ぐ監督は、日本人監督でなければいけない。
Q、しっかりとしたベースを築いていく、ということですね。 A、私は遅かれ早かれ、このクラブを、この街を、この国を去ります。東京の人々のためのクラブであるFC東京を育てること、それが私の使命です。日本では誰もが「優勝をめざします」と言うことには驚きました。私はそんなことは言いません。誰よりも負けることが嫌いで、勝ちにこだわる人間ですが、約束できるのは、明確なプレースタイルを植え付け、常に優勝争いに関われるだけの力を備えさせ、クラブを成長させること。アカデミー出身の選手を重視し、質の高い外国籍選手を補強し、私のプレースタイルに適した選手を補強しながら継続的に成長していく。FC東京はまだ、J1でトップレベルの経営規模ではありません。現在のプロサッカー界は、経営規模でトップを争えないクラブが常に優勝を狙えるほど簡単な世界ではありません。ただ、チームが、クラブ全体が継続的に成長すれば、経営規模の成長も促すことができます。
・日本では誰もが「優勝をめざします」と言うことには驚いた。私はそんなことは言わない。 ・誰よりも負けることが嫌いで、勝ちにこだわる人間ですが、約束できるのは、明確なプレースタイルを植え付け、常に優勝争いに関われるだけの力を備えさせ、クラブを成長させること。 ・FC東京はまだ、J1でトップレベルの経営規模ではない。
Q、スポンサーが増えれば、収入が増え、より質の高い選手を補強することが可能になります。 A、例えば川崎フロンターレも、明確なプレースタイルを持っているがゆえに、常に優勝争いに関われています。私も2〜3年をかけて、このクラブの基盤を構築したい。そのベースをもとに、毎年タイトル争いに関われるクラブに成長させたいと思います。それには選手、チームだけでなく、クラブのあらゆる分野がプロフェッショナルになる必要があります。それを促すことも私の役割だと思います。ピッチで表現されるプレースタイルだけの話ではなく、クラブ全体が成長しなければなりません。素晴らしい人間であること、プロとして、素晴らしい仕事人であることが求められます。
・2〜3年をかけて、このクラブの基盤を構築したい。 ・そのベースをもとに、毎年タイトル争いに関われるクラブに成長させたい。
Q、では最後に、東京のファン・サポーターへのメッセージをお願いします。 A、日本人は互いに尊重し合う国民性だと思っています。私もリスペクトを重んじる人物です。協力して戦っていきましょう。もし私がミスをしたら、謝罪をしようと思いますが、試合に負けても謝罪はしません。全力を出しても試合に勝てないことはあります。それは失敗ではありません。どのようなプロジェクトでも成功には時間と忍耐が必要です。そのなかで、みなさんが団結できるように、私は戦い続けたいと思います。みなさんにお会いできる日を楽しみにしています!
・もし私がミスをしたら、謝罪をしようと思うが、試合に負けても謝罪はしない。 ・全力を出しても試合に勝てないことはある。それは失敗ではない。どのようなプロジェクトでも成功には時間と忍耐が必要。 アルベル監督 ✕ 戸田和幸氏 対談
戸田氏 サッカーのスタイルについてお話をさせていただきます。 以前のインタビューでも言われていた「みんなで旅をする」という、ボールをしっかり保持をして、ゲームもコントロールするし、もちろんプレスもする、というアルベル監督が推し進めてきたスタイルは、おそらくFC東京が掲げてきたプレッシングだったり、守備からカウンターというスタイルとは異なります。新たな場所でのチャレンジでもありますが、サッカーのスタイルという意味でもクラブとしても決断をした部分だと思います。これからアルベル監督の哲学を浸透させる上で、どれぐらいの時間が必要だったり、どんなことがこれからトレーニングのなかで必要になるとお考えでしょうか。 アルベル監督 どれぐらい時間が必要かというのはやはりある程度予測はつくものです。私がイメージしているなかでは、最初の6ヶ月間というのはそれなりに苦しむ時間が続くかと思います。最初の6ヶ月間というのは、いろいろなことを試し、そしていろいろと調整しなければいけません。そして、6ヶ月ほど経ったときには、チーム・選手たちは新しいプレースタイルを十分理解して、いいプレーをすることができ始めると思いますが、当然ミスというのは継続的に起こるものです。それを1シーズン続けた後、2シーズン目というのは当然シーズン当初からいいスタートが切れることが十分予想されます。そしてそのプロジェクトが3シーズン目まで継続する場合には、さらに高いレベルでプレーすることが予想できます。その後により多くの大きな成功を成し遂げられると思います。私にとっての大きな成功というのは、こうしたベースが構築されたチームにアカデミーから若い選手がどんどんトップチームにあがっていく流れを継続的につくっていくことだと思います。そしてそこに加わる外国籍選手というのは、明確に違ったものをチームに提供できる選手でなければいけません。
・最初の6ヶ月間というのはそれなりに苦しむ時間が続くかと思う。 ・6ヶ月ほど経ったときには、チーム・選手たちは新しいプレースタイルを十分理解して、いいプレーをすることができ始めると思うが、当然ミスというのは継続的に起こるもの。 ・それを1シーズン続けた後、2シーズン目というのは当然シーズン当初からいいスタートが切れることが十分予想される。 ・プロジェクトが3シーズン目まで継続する場合には、さらに高いレベルでプレーすることが予想できる。 ・私にとっての大きな成功というのは、こうしたベースが構築されたチームにアカデミーから若い選手がどんどんトップチームにあがっていく流れを継続的につくっていくこと。
戸田氏 そういう意味では、新しい監督が来て、しっかりとチームとして取り組むものに対しての基準や求めているものを打ち出した上で、年齢問わず、トレーニングからみていくのでしょうか。 アルベル監督 ピッチの外では当然目上の人にリスペクトをしなければいけません。けれどもピッチ内では違います。35歳であろうとも、16歳であろうとも、ピッチに立てば同じです。そしてサッカーというのは、長身の選手にも背が低い選手にも、そして細い選手にも太った選手にも平等にチャンスを与えてくれます。明日、初めて全選手に会いますが、そこで選手たちに伝えたい一番のメッセージがあります。もっとも重要なことはチームが一致団結していることです。そうでなければ成功は収めることはできません。重要なことはチームが一つにまとまっていることで、そこには年齢も関係ないですし、国籍も関係ありません。 そして私が求めるプレースタイルには、選手同士のコンビネーションが必要です。コンビネーションは選手同士の強い絆がなければ表現できません。選手はロボットではありません。一人ひとりがもっているイマジネーション、一人ひとりがもっている自分の個性というものをピッチで表現してほしいと思います。一方で一人ひとりがチームのために汗をかかなければいけません。走らなければいけません。なぜならば一人でもサボればチームの完成度というのは劇的に下がってしまうからです。それゆえにもっとも大切なのはチームが一致団結していることです
・一人ひとりがチームのために汗をかかなければいけない。走らなければいけない。なぜならば一人でもサボればチームの完成度というのは劇的に下がってしまうから。
戸田氏 東京にはすごく献身的に走ることができる選手ばかり揃っていると思います。一方で、アルベル監督の哲学やスタイルという意味では対極のように思います。新潟と同じことをやるとは思いませんが、打開力があったり、走ることにすごく長けている選手たちを、監督の哲学のもとにうまく導いていくというのは一般的に難しいのでしょうか。 アルベル監督 私が東京で求めようと思っているプレースタイルは新潟と変わりありません。けれども、選手一人ひとりの個性を最大限ピッチで発揮させるのがチームです。そういう意味では今、目の前にいる選手たちの個性を理解して、そしてその個性を出すようにするのがプレースタイルというものです。例えばグアルディオラが率いてもバルセロナバイエルン ミュンヘン、そしてマンチェスター シティは違ったプレーを表現していたと思います。バルセロナではチャビ、イニエスタ、メッシといった選手がいたことによってボールを失うことはほぼありませんでした。ベースとなるプレースタイルはあるといえども、選手が変わればそこで表現される個性と、チームとしての個性というのは当然変わってきます。
・私が東京で求めようと思っているプレースタイルは新潟と変わらない。 ・けれども、選手一人ひとりの個性を最大限ピッチで発揮させるのがチーム。 ・ベースとなるプレースタイルはあるといえども、選手が変わればそこで表現される個性と、チームとしての個性というのは当然変わってくる。
アルベル監督 プレースタイルは選手によって変化しますが、とてつもない能力の選手が必要かというとそうでもありません。いろいろなプレースタイルがあって、好みがあるわけですけども、監督として一番重要視しなければいけないのは、選手が成長することです。私が好きなプレースタイルは、選手の成長を促せるという意味でも気に入っています。当然ながら、選手の質が高くなればなるほど、より多くの成功を収めることにつながります。それは他のプレースタイルでも同様で、より高いレベルの選手が揃えば、より多くの成功を収めることができると思います。ただ、他のプレースタイルと私が好むプレースタイルの差があるとすれば、私が好むプレースタイルでは、選手の成長を同時に促せると思っています。
・プレースタイルは選手によって変化しますが、とてつもない能力の選手が必要かというとそうでもない。 ・監督として一番重要視しなければいけないのは、選手が成長すること。
アルベル監督 オランダはプレースタイルという部分ではすごく明確なものをもっているけれども、勝負にこだわるというところでは少し欠けている部分もあるかと思います。先程の話はまさに的を得ていると思うんですが、日本人選手はテクニックのレベルがとても高いと思います。そして、広い意味で戦術の部分でも決して悪くはない。けれども状況判断、自分で決断するというところでは、やはり改善点があると思います。そして先程話されていたミスを恐れるということと、大胆な判断をくだすことに苦労するということはつながってくると思います。興味深いのは、日本人選手はフィジカル的には、ヨーロッパや南米、アフリカの選手よりも、決して上回っていないにもかかわらず、日本では、イングランドのようにフィジカルを最優先したプレーをするチームが多いというのは正直驚かされました。
・日本人選手はテクニックのレベルがとても高い。 ・広い意味で戦術の部分でも決して悪くはない。 ・状況判断、自分で決断するというところでは、改善点がある。 ・日本人選手はフィジカル的には、ヨーロッパや南米、アフリカの選手よりも、決して上回っていないにもかかわらず、日本では、イングランドのようにフィジカルを最優先したプレーをするチームが多いというのは正直驚いた。
アルベル氏 私たちが好むこのプレースタイルというのは、選手の個性を発揮することにもつながるプレースタイルだと思います。そしてパズルのように、選手の配置を少し変えて、それぞれの選手の長所と短所をうまく補えるようなよりよい適切な組み合わせを探すことが監督の仕事のひとつです。例えば、サイドでの攻撃参加が得意な運動量の豊富なサイドバックがいるとします。そして、同じようにスペースに飛び出すことが得意なウイングがいたとします。では、その二人を同じサイドで使ったら何が起こるでしょうか。そこで長所が重なってしまっていいプレーができないと思います。個性の違う選手を組み合わせることによって、お互いの長所を引き出せるようなコンビネーションを組ませる方が個性を発揮できると思います。
・私たちが好むこのプレースタイルというのは、選手の個性を発揮することにもつながるプレースタイルだと思う。 ・パズルのように、選手の配置を少し変えて、それぞれの選手の長所と短所をうまく補えるようなよりよい適切な組み合わせを探すことが監督の仕事のひとつ。
戸田氏 先程、日本人選手の戦術理解が悪くないという話をされたんですが、新潟で指揮を執るなかで、選手のポジションへの理解や戦術の理解について、日本人選手の印象はどのようなものでしたか。私はスペインに行っていろいろと見させてもらって経験してきたのですが、日本ではそうした指導を受けていない可能性が高く、感覚に頼っている選手が多いのではないかと思います。 アルベル氏 どの分野でもですが、自分が伝えたいというものを相手が理解してくれるのは難しいものです。まずは監督として自分が表現したいものを細かい部分まで深く理解していないと、選手にわかりやすく伝えることは難しいですよね。2年前に新潟に行った際には、外国籍選手も含めて私が期待するプレースタイルでプレーしたことがない選手が多くいました。そして、補強した選手の多くも所属していたクラブでなかなかプレー時間に恵まれていない選手たちでした。まず最初にチームをオーガナイズしなければいけないわけですけども、それに加えて、プレースタイルだけではなく、よりプロクラブとしてふさわしい仕事をクラブ内でしていくということも同時に改善しなければいけませんでした。そして、今までこのプレースタイルでプレーしてこなかった選手たちのプレーを実際にみて、どの選手がどのポジションに適しているかということをまず我々も観察しなければいけませんでした。 2シーズン目、私のプレースタイルに適応した選手が残り、適している選手を外から獲得して補強しました。そしてよりスピード感ある形でチームの完成度を高めるために日本人を中心とした編成を2年目におこないました。そういう意味でも2シーズン目のスタートからいいプレーができていたと思います。チームとしての完成度はあがり、期待するプレーはチームとしては表現できていましたが、なかなか最後のフィニッシュというところで決定力が欠けてしまっていました。 新潟にとって、私が就任してから3シーズン目となる2022シーズン、多くの選手が残り、チームのスタイルを継続してくれると思います。さらに成長してくれることを心から願っています。昨シーズンも素晴らしい質の高いFW陣がいました。彼らのプレーにはとても満足しています。しかしながら我々のプレースタイルに適応して、相手チームがより多くの人数をかけてゴール前で守備をかためるという展開が多かったです。そのようなチームから点をとることはやはり簡単ではありません。
・2年前に新潟に行った際には、外国籍選手も含めて私が期待するプレースタイルでプレーしたことがない選手が多くいた。 ・補強した選手の多くも所属していたクラブでなかなかプレー時間に恵まれていない選手だった。 ・最初にチームをオーガナイズしなければいけないわけですけども、それに加えて、プレースタイルだけではなく、よりプロクラブとしてふさわしい仕事をクラブ内でしていくということも同時に改善しなければいけなかった。 ・今までこのプレースタイルでプレーしてこなかった選手たちのプレーを実際にみて、どの選手がどのポジションに適しているかということをまず我々も観察しなければいけなかった。 ・2シーズン目、私のプレースタイルに適応した選手が残り、適している選手を外から獲得して補強した。 ・よりスピード感ある形でチームの完成度を高めるために日本人を中心とした編成を2年目におこなった。
戸田氏 東京はすごく早くて強くてうまい選手が前に揃っているんですよ。ご存知だと思いますが4-4-2で前に前にということがベースのスタイルだったので、その中でもう少しスピードを落としたり、中盤のセンターの選手とセンターバックのところで上手くポジションをとりながら、相手をコントロールしてプレスを外すということにおそらく取り組まれると思います。スタイル的にはかなり変わると思いますし、傍目から見たら大変そうだと思うのですがどんなところから取り組んでいくのでしょうか。 アルベル監督 もちろん複雑だとは思います。でもできると信じています。
・(スタイル変化のチャレンジについて)もちろん複雑だとは思います。
戸田氏 僕はスペインの多様性が好きなんです。東京には、日本の中だと身体的に逞しくて走れて打開もできる選手がいるんですが、今まではどちらかというと直線的にゴールをめざしていました。そこにアルベル監督がきて、おそらく学ぶ意欲に溢れている選手が多いので、変わるだろうという期待がある。それを楽しみにしています。 アルベル監督 最初の6ヶ月ほどは苦しむ可能性があることは新体制発表会のなかでもお話しましたが、チームが団結している前提として、選手の質が高ければ高いほど、完成に必要な時間は短くなります。ただ、何事も成し遂げるためにはやはり団結というのは必要になります。それはチームのなかだけではなく、クラブ全体の一致団結というのが必要になります。そして選手たちだけではなく、ファン・サポーターとの一致団結も必要です
・最初の6ヶ月ほどは苦しむ可能性があることは新体制発表会のなかでもお話しましたが、チームが団結している前提として、選手の質が高ければ高いほど、完成に必要な時間は短くなる。 ・チームのなかだけではなく、クラブ全体の一致団結というのが必要になる。
アルベル監督 私にとって、そしてクラブにとって、ファン・サポーターの存在はとても重要です。だからこそ彼らに嘘をついてはいけません。このような試合結果を残せます、残しますという保証できないものを保証しては嘘になってしまうので、ファン・サポーターには誠意をもって本音で話をしなければいけないと思います。当然、毎試合勝利をめざして全力を出すことは保証します。けれども私たちがめざすプレースタイルというのは、シーズンのスタートのときにはいい結果を出すにことに苦労する可能性が当然あるというのは予想しています。
・このような試合結果を残せます、残しますという保証できないものを保証しては嘘になってしまうので、ファン・サポーターには誠意をもって本音で話をしなければいけない。 ・毎試合勝利をめざして全力を出すことは保証する。 ・けれども私たちがめざすプレースタイルというのは、シーズンのスタートのときにはいい結果を出すにことに苦労する可能性が当然あるというのは予想している。 <おわり>