この本は大雑把に書くと「フットボールを上達するためにゲームが一番だ」と考えるフォルミサーノの頭の中を覗ける本だ。
あくまで大雑把に書くとであり、当然中身はもっとしっかりとしている。
たぶん、この本を読んで生まれる感情はいろいろあると思う。
いわゆる一部の技術を切り取ったような反復練習は完全に否定派だ。
個人的にゲームから学べるというのは「確かになー」とも思いつつ、じゃ反復練習が完全に否定されるものなのかというと現時点では完全に賛同できないなと思った。
ただ、個人的に考え方として似ている部分も多く、内容は素直に入ってきた。
対話形式だが、誰にでもおすすめな内容かというと微妙なところ。
フットボールが好きな人全般に向けた本ではない。
個人的に面白かったのは終盤に書かれていてレアルマドリードの強さについて。
クラブの歴史や文化が強さに大きく影響しているというのは個人的にも思っていたが、それプラスαの部分が書かれていて、参考になった。
カタールW杯の日本やドイツ、スペインについても書かれており、そこも面白かった。
たまたま見た動画がこの本とリンクするかのような内容だった。
鹿島だったり、黄金期の磐田なんかの強さは、この本を読むと、ただ単に質の高い選手が揃っていたとか同じ選手で長いことやれていたことによる阿吽の呼吸が存在したなどの部分がもっと解像度高く見ることができるようになるかもしれない。
動画内で現代フットボールの戦術の縛りの強さに拒否反応を示していたけど、鹿島時代も戦術の縛りは存在したけど、それは監督にやれと命令されたことでなく、自分たちの判断で実行していたから、心理的負担がなかったのではないかとも思った。
読むことで新たな刺激を与えてくれる本だと思うので、個人的におすすめの本です。
<おわり>