「難しいし、時間がかかる作業だと思ってます。それをできるだけ早くやりたいと選手たちに伝えていて。ですが、僕の力不足で1年では足りなかった」
鈴木はこうした現状について「いまはカップ戦は別として、長いリーグ戦を勝ち取る上では間違いなくスタイルがないと勝ち続けることはできない」と分析する。「そのスタイルが何なのかを僕自身、模索しているし、チームとしてのバランスは考えさせられる」と迷いを浮かべつつも、首位を走る神戸との差を「彼らが今シーズンやってきたものを相手がどこだろうとそのまま出してきて、そのレベル、完成度が高かった」点に見出した。
「時代も変わって、良い戦力が揃っているからと言って優勝できるモノでもないし、個々の能力が劣っていても優勝争いできる時代に来ている。そういう時代の中でも鹿島アントラーズはタイトルを目指しているクラブだというのは変わっていないので、なかなか苦しんでいると思う。ここ数年を見てもそういったところに手が届かないのが事実としてある」
テレビ放送もあったので、この試合は見ました。
少なくないチームが変わろうと努力をしては、やめるというのを見てきた感じるのは、長いことJリーグを見てきたからなのかなと思います。
この対戦はチーム作りを強化するにおいて、なかなか象徴的な試合だったかもしれません。
個人的に神戸は地道に積み上げたものが開花したチームという印象はありません。
大迫や武藤といったスペシャルなタレントが大きく影響しているのは、試合を見ていても明らかでした(特に大迫)。
彼らは高額な年俸で雇われており、それに対して「金で強くしている」というネガティブな意味で言う人もいますが、これほどシンプルだけど、効果的に強化する方法はありません。
おそらく、当時選手側が妥協するということがない限り、大迫や武藤を雇えるクラブは神戸以外になかったのではないかと思います。
そういった補強をできる資金がないクラブが中長期的に強くする(こちらもお金が掛からないわけではない)方法をとらざるをえないというのが現状なのかなと思います。
さて、冒頭の岩政監督のコメントですが、これがどこまで本音なのかはわからないところです。
鹿島というチームのことを理解しているから、現実的にそうだとしても「チーム作りのために3年くらいは我慢してくれ」とは言えないのかもしれません。
中長期的なチーム作りで、成果を残したモデルの一つはマリノスです。
ネット上にも当時の関係者のインタビューなどが転がっていますが、シティグループに入り、モンバエルツ就任からのマリノスはピッチ内外での闘いの日々だったんだと感じました。
関係者たちは確固たる考え方があり、ブレずに戦い、結果的にモンバエルツ就任から5年後(ポステコグルー2年目)にリーグ優勝することになりました。
ただ、この優勝は想定より1年早かったようなので、マリノスとしては6年でリーグ優勝を勝ち取るという計画だったわけです。
ただ、結果的にマリノスは、結果を出したわけなので、称賛されますが、これってめちゃくちゃ怖いだろうなと思います。
時間を掛けたけど、うまくいきませんでしたというパターンも当然起こりえるわけですし。
時間を掛ければいいというわけでなく、やるべきことがわかっており、結果的にそれが時間が掛かるものであるということだから、時間が掛かってもいいわけで、こんなチームにしたいという完成形は見えているけど、それに向けてどうすればいいのかあまり理解できていないという状態で進んでいると、それはただの時間の無駄遣いで終わる可能性が高いのではないかと思います。
それこそ、現場に力を入れるよりも、お金を増やす方法に力を注いで、現場に使える資金を増やした方がチームを強くする近道の可能性もあります。
最後に一つ。
そのクラブの文化になかったスタイルを導入しようとすると、奇跡みたいなことが起きない限り、選手の大幅な入れ替えは避けられないと個人的に思っています。
よくそういうチームに対し「選手の質は高い」と言われたりしますが、求める質が変わるので、その部分は完全にフラットに見ていかないといけない部分かと思います。
ただ、良くも悪くも選手を大事にするクラブが多いので、これをやるのって、それこそクラブが断固たる決意みたいなものがないといろいろな圧に耐えられないと思います。
功労者が適応できないというパターンも少なくないですから…
<おわり>