受け入れられること受け入れられないこと(アジアカップ 日本vsイラン)

 

はじめに

2024アジアカップは、残念ながらベスト8で散ることとなった。

前評判の高かった日本だが、90分トータルで見ればイランに押される時間が長く、今回の結果は十分起こりえるものだった。

 

森保監督のブレないチーム作り

イラン戦は、長い時間ロングボールで突かれていた日本の右サイド(板倉、毎熊のところ)を放置していた。

気付かないということはありえないと思っているので、意図的に手を付けなかったのだろう。

ピッチ上の問題を意図的に手を付けないというのは、森保監督になってから珍しいことではない。

それは、彼がピッチ上の問題はピッチ上の選手が解決できるようになって欲しいと考えてチーム作りをしているからだ。

これは監督就任から一貫していることだ。

 

カタール戦の敗北

日本代表は、すでに同じような経験をしている。

しかも、それは同じアジアカップだ。

5年前のUAEで開催されたアジアカップで、日本は決勝でカタールに敗北している。

あのときも、外から強いメッセージを出してピッチ上の問題を修正する感じはなかった。

相手が違うとはいえ、5年という年月が過ぎても、同じような問題で負けている。

しかも、これはW杯ではない。

5年前と同じアジアカップなのだ。

 

ボトムアップ型のチーム作りはベストな方法なのか

W杯では、前評判が低かったことと、同グループにドイツとスペインがいたこともあり、その状況でベスト16に進んだことで、森保監督の評価は一気に上がった。

W杯後の親善試合でも負け知らずの結果を残したことで「史上最強の日本代表」と呼ばれるようになってきた。

その評価のままアジアカップに突入し、グループリーグではイラクに敗北し、準々決勝ではイランに負けた。

どちらもやるべきこをやったけど負けたというより、当初の想定がハマらないとずっとハマらずに終わって負ける。

そのハマらない状況を”選手だけ”でハマる状況にして欲しいのだろうけど、先ほども書いたように5年前に同じような状況で負けているのだ。

これは果たして、チーム作りが順調に進んでいると言えるのだろうか?

 

混乱するチームと批判を背負う選手

イラン戦のチームは明らかに混乱していた。

やることべきことが共有されているイランに対し、日本はバラバラだった。

そこに加えて、明らかにコンディションが悪そうな板倉と高さに強くはない毎熊の右サイドが狙われた。

結果的にそこへの集中砲火が最後の最後で実を結んでしまった。

右サイドを狙ったロングボールを折り返されて、処理ミスが起き、板倉のファールによって、PKが与えられてしまった。

このプレーに対し、批判の矢面に立つのは選手だ。

おそらく選手たちは言い訳をしないだろう。

ピッチにいる以上結果を出すしかないと答えるだろう。

ただ、そういう状況を救えるのが監督やコーチたちだったのでは?と疑念が拭えない。

明らかに混乱している。

明らかにコンディションが悪い選手がいる。

明らかに狙われているところがあり、それをピッチ上の選手で対応できそうにない(板倉が急に元気になったり、毎熊がいきなり空中戦にめっちゃ強くなるということはない)。

このような状況でも、ブレずに選手に任せるというのはマネジメントとして正しかったのだろうか?

 

結果とマネジメント

個人的に今回の結果は受け入れられるが(イランは強かった)、負け方は到底受け入れられるものではないと思っている。

森保監督の考え方だと、イラン戦の状況を外からの強いメッセージで対処するというのはマネジメントの考え方からだとできなかったのだろうけど、それでも昨日の混乱ぶりは外から選手を助けて欲しかった。

これは親善試合じゃなく、アジアカップなのだ。

多くの選手が所属元のクラブがシーズンを戦っている中で、ポジションを失うかもしれないというリスクを負って戦いにきているのだ。

そんな選手たちが、ただただピッチ上で混乱して、負けていく姿なんて見たくなかった。

 

雑感

今の日本代表は、選手層だけでいえば史上最強と言ってもいいのかもしれない。

しかし、フットボール個人戦でなく、11人対11人のチームスポーツであることを改めて思い知らされた。

いい選手が11人いれば、ドイツもスペインも日本には負けないだろう。

でも、チームスポーツだから今の日本でも勝つことができる。

それを今回のアジアカップでは、逆の立場をイラク戦で味わい、イランには対等にやって負けた。

ボトムアップ型で今後も続けて、仮に次のW杯に出れたとして、今回のような状況に陥らないのだろうか?

W杯のドイツ戦では、前半で3失点くらいしてもおかしくなかったが、相手が決めきらなかったという一種の運とも言っていいものによって勝ち取った部分も大きい。

後半の修正は確かに見事だったが、前半のゲームプランが狙い通りではなかっただろう。

今回のイラン戦は延長狙いで、そこで修正する予定だったのかもしれないが、イランは外し続けてはくれなかった。

選手だけでピッチ上の変化に対応できたら、それは素晴らしいことだろう。

常に状況が変わるフットボールというゲームにおいて、それができれば大きな強みとなるだろう。

ただ、それが本当に活動日数の少ない代表チームにおいて可能なことなのかは再考しないといけないのではと今回のイラン戦を通して感じた。

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<おわり>