近年だと、昨シーズンのガンバであったり、今シーズンだと浦和やマリノスといったチームが433(1ワンカー)のシステムにチャレンジしている(た)。
しかし、どのチームもうまくいかずに433(ダブルボランチ)にしている。
ガンバは今シーズン結果を残しているし、浦和はグスタフソンの怪我というのが理由としてはあったがそれによって磐田をボコボコにしているし、マリノスはキューウェル解任後に町田に勝利を収めている。
町田vsマリノスは、前半だけ見たが、非常に選手がやりやすそうにしていた。
試合後にはマリノスのOBである大津祐樹がこんなポストをしていた。
結果ダブルボランチなんですよ。
— 大津祐樹/Yuki Otsu (@yukiotsu23) 2024年7月20日
2018シーズンに1番分かった事なんですって。2シャドーだと守れないから僕こっそりボランチやってたんですから。
いやーこれからが楽しみで仕方ない。 https://t.co/EfXVqHa6O3
もちろんマリノスのアタッキングフットボールをするならですよ。
— 大津祐樹/Yuki Otsu (@yukiotsu23) 2024年7月20日
さらに那須大亮のYouTubeでは、3人の元Jリーガーが1アンカーのシステムは難しいと語っていた。
そんな1アンカーシステムではあるが、直近で結果を残したチームがある。
EUROでのスペイン代表である。
今大会のスペイン代表は、結果は言わずもがな内容でも優勝したことに文句を言わせないクオリティのチームだった。
これはスペイン代表はなぜうまく機能し、Jリーグではなぜうまくいかないのかを知るいい機会だと思った。
EUROのスペイン代表の試合を全て見直したので、個人的な感じたことを書いておこうと思う。
選手の質の問題
スペイン代表の選手の質に比べて、Jリーグで433(1アンカー)をやろうとしているチームは選手の質が足りないと思った。
「そりゃそうだろ。そんなの知っとるわ!!」
と言われそうだが、まぁ落ち着いてほしい。
個人的にスペイン代表はどうやっているんだろうと注視したのが
- 1アンカーでどうやってスムーズにビルドアップしているのか。
- 前に人を掛けれるシステムである一方、後ろが手薄になりやすいシステムでどうやって守っているのか。
という2つだ。
1アンカーでのビルドアップ
凄いざっくり書いてしまうと、11人全員がボールを保持することを苦手としていなかった。
この大前提があるので、相手からしたらプレスの的を絞りにくかったと思う。
また、1アンカーを相手とするチームは、多くの場合アンカーにマンツーマンで人をつけてくる。
なぜなら、1アンカーをやれる選手はボール配球が優れており、どの方向にもパスの出しやすい中央のエリアでこのタイプの選手にボールを持たせるのは危険だからだ。
スペイン代表のアンカーは、現在No.1のアンカーと言っても過言ではないロドリ。
当然相手の警戒は強い。
ロドリがボールを持てるかどうかがスペイン代表の生命線であったら、優勝するほどの力はなかったのではないかと思う(たぶんドイツ代表あたりに負けていたと思う)。
最初にも書いたが、スペイン代表は11人がボールを保持することを苦に感じていない。
なので、ロドリが消されても、他の選手がビルドアップの出口となってくる。
個人的に際立っていたのがファビアンルイスだ。
インテリオールのポジションだが、状況に応じて、ポジショニングを上げ下げして、ボール循環を良くする動きをしていた。
ボールを触りながらリズムをつくりたいとかでなく、必要なら下がるし、必要ないなら高い位置でボールが届くのを待つという感じだ。
Jリーグでうまくいかないチームは、インテリオールの質も大きく影響しているのではないかと思う。
ポジションを下げることがダメなのではなく、下がる必要がない状況で下がるのが悪いわけで。
2ボランチにした方がうまく回るというのは、そういったインテリオールの質であったり、最終ラインの選手がボールを運ぶことを苦手としているから、だったら最初から中央に2枚いた方がいいよなということなのではと感じた。
非保持の対人が強い
今大会のスペイン代表のプレスは非常に効いていたし、プレスが機能するかは433(1アンカー)においては生命線となってくる。
しかし、プレスが常にうまくいくことはなく、かいくぐられてしまうことはある。
それは優勝したスペイン代表とて同じだ。
しかし、スペイン代表が凄いのはプレスをかいくぐられた後に五分五分の勝負みたいになったときにしっかり奪えたり、奪えなくてもプレーが止まったりと相手のチャンスにさせないところ。
特にSBのカルバハルとククレジャは、相手の強力なサイドアタッカーに対して、負けることが少なかったのは、今大会の優勝に大きく影響していたと思う。
結局、対人で弱い選手がどこかにいれば、そこを突いてこようとするの当たり前の話。
プレスをかいくぐられ、最終ラインを晒されたときに耐えれる選手が揃っているのか。
Jリーグだと、そこまで質のある選手を両サイドに揃えるのは簡単でなく、結局保持か非保持どちらかに特徴があるか、どっちもそこそこできるくらいの選手を使わざるを得ないために何かしらの問題が出てしまうのではと思った。
雑感
スペイン代表とJリーグの433をやるチームの選手のタイプを比較すると、同じポジションであっても、特徴が結構違うなと感じた。
スペイン代表の433も一つの答えに過ぎないが、それでも
「編成の段階でちょっとキツイんじゃね?」
とも思った。
結論を言ってしまうと全部足りないよという感じなのだが、あえて優先順位を考えるなら、CBとインテリオールは妥協できないかなと思った。
とはいえ、他のポジションも質が足りないとキツイはキツイので、もし結果もすぐに出したいなら、投資がかなり必要となってくるなと思った。
投資ができる体力がクラブにあるという点では、チャレンジしようとしたクラブはチャレンジできる体力があると思うけど、必要な選手を見極める能力が強化部にあるかは怪しいのかなと思った。
なので、キューウェルのように貫いて解任になるのか、監督が妥協して2ボランチにするかのどちらかの結末に辿り着いてしまうのではと思った。
<おわり>