中野誠也の移籍について

磐田サポにとっては、かなりショッキングな移籍が決まりました。 磐田とは心が離れている私でさえも「マジで!?」となりました。 しかし、少し時間経てば「まぁ、移籍してもおかしくないよな。」となりました。 今回の移籍について、できる限り客観的に私の考えを書きたいと思います。 磐田は残留を望まなかったのか? 今回の移籍については、まあまあ荒れているようで「なぜ移籍を許すのか!?(しかも同カテゴリーに)」といった意見が見受けられました。 中野誠也(以下誠也)の磐田側に対するコメントを読む限り、磐田からは残留を強く望まれたことが想像できます。
小さい頃から憧れていたジュビロ磐田でプロになれたこと、そしてヤマハスタジアムでプレーできた時間はかけがえのない時間でした。苦しいときもサポーターの皆さんの声に助けていただきました。ジュビロ磐田に関わる全ての皆様に、心から感謝の気持ちでいっぱいです。 大好きなクラブを離れることは本当に難しい決断でした。本気で悩みました。だからこそ、強い覚悟を持って決断しました。ジュビロ磐田で育てていただいた経験を胸に、移籍先でも自分らしく謙虚に直向きに頑張っていきたいと思います。改めて、本当にお世話になりました。ありがとうございました。
残留を望まれなかった選手が悩むわけがないので、状況として考えられるのは、 1、誠也は今シーズンで契約が切れる 2、大宮が違約金(恐らく満額)を払う条件を提示してきた のどちらかで、移籍をするかどうかは誠也の決断に委ねられた状況だったのだと思います。 そして、結果的に誠也は移籍することを決断したわけです。 どうして移籍をする決断をしたのか? 今回の移籍がJ1のクラブであれば多くの人が「ショックだけど、J1のクラブならステップアップだし仕方ないか。」となったのではと思います。 しかし、移籍先は同じカテゴリーのクラブ。 昨シーズンの結果だけを見れば磐田よりも下の順位のクラブへの移籍ですが、結果ほど力差があったわけではなく、今シーズンのライバルになりえる可能性のあるクラブへの移籍は、多くのサポにとってショックを与える大きな理由の1つであったかと思います。 なぜ誠也は、移籍を決断したのでしょうか? それは彼のプレースタイルにあると私は思っています。 今の磐田のFWに求められるFW像は、”なんでもできる(パワフル系)”ことです。 近年でいえば、ジェイ、アダイウトン、川又のような仕事を求められます。 名波体制時に大卒として入団してきてからの誠也を観てきた限りでは、彼は上にあげた3人のようなタイプではありません。 要求し続ければそういう選手になる可能性が0とは言い切れませんが、それでもそうなる可能性はかなり低いと思います。 誠也の長所は、最終ラインを出し抜ける裏への走り出し、そして決定力だと思います。 しかし、名波体制時は、ボールが来るタイミングが予想しにくく(再現性のある攻撃パターンがなかったため)、アバウトなロングボールなどフィジカルが長所でない誠也にとってはプレーがしにくい状況でのプレーを求められることが少なくなかったです。 なので、磐田では成績を残せないまま、岡山に期限付き移籍することとなります。 岡山で結果を残し、フベロ体制になり復帰したわけですが、フベロ監督が解任となり、名波体制と似たスタイルである鈴木政一監督となり、来シーズンも続投することが決定しました。 さて、そうなったときに25歳の選手がどういう考えになるのか?ってことです。 自分とは相性の悪かったスタイルに戻ることに不安を感じない選手なんていないでしょう。 移籍先である大宮は、大分でコーチをしていた岩瀬さんが監督になることが決定しています。 以前に柏で監督をしていたときの試合を観たことがありますが、私の印象としては戦術家タイプであり、選手の自由の発想を重視(期待)するというよりも、ある程度選手へのタスクを絞って任せる印象があります。 なので、当然前線からの守備など得点以外の部分は求められますが、言葉通りの意味で”個人の判断でのプレー”を求められるのではなく、”選択肢を与えられた上でプレーを選択する”状況になるかと思います。 これを嫌がるタイプの選手もいますが、誠也はむしろこの部分に惹かれているのではないかと思います。 誠也は、”戦術に守られることで力を発揮する”と私は思っているので、今回の移籍はショッキングではありましたが、非常に納得できるものでした。 おまけ 今回の移籍とは関係ありませんが、小川航基(以下航基)も同様のタイプだと思っています。 航基は、大きな体格から屈強なCFのような印象がありますが、相手を1人であれば余裕で背負ったりなどの強さで勝負するタイプではなく、動き出しで勝負するタイプです。 誠也と全く同じとは言いませんが、タイプとしては似た部類にあると思います。 なので、航基も戦術的に守れないと力を発揮しにくいです。 プロになってから航基の力を一番発揮した長谷部監督(当時水戸)が現在福岡で監督をしています。 福岡は、FWが補強ポイントであるので、航基を狙っているのではないかと個人的に想像しています。 航基としても、自分の力を発揮させてくれた監督がいて、さらにJ1で勝負できるとなれば、かなり移籍に気持ちが傾くのではないかと思っています(開催は微妙ですが今年は五輪もありますし)。 私個人としても、今の磐田にいても力を発揮できないと思っているので、仮にそういった話があれば航基個人のキャリアを考えれば、移籍するのがベストなのかなと思うのでした。 <おわり>