大分vs徳島

(この記事は2018/08/30にnoteで書いた記事です) 久しぶりに書いてみた。 お昼に「リクルートされるために記事を上げないと!」とツイートしたが、この記事はそれより前から書いていたので、リクルートのためではないと強く言っておきたい(`・ω・´) 1.png 1.png メンバーはご覧の通り。 532をどう攻略するか どちらも状況に応じてプレスを使い分けていた(攻撃的と守備的) 両チームとも共通していたのが守備的プレスの場合は532で待ち構えること。 1.jpg ディフェンスラインを5枚にして、中盤を3枚にすると、どうしてもここのスペースが基本どちらか空いてしまう。 スペースを埋めるために3枚が気合いでスライドするのか、WBが前に出るのかはチームによると思う。 大分も徳島も多少のスライドはあれど、最初からスペースを埋めるというより、このスペースにいる選手にボールが入ったらCH or WBがアプローチする感じだった。 (徳島がこの試合、あまり攻撃的プレッシングを行わずに撤退することが多かったのが不思議だったのだが、日程の問題だったようだ。) 【大分vs徳島】リカルドロドリゲス監督記者会見コメント「大分戦はこういう難しい試合になると思っていました。しっかりやってくれた選手たちに感謝しています」 空いたスペースには両チームとも攻撃時はWBが入ってくることが多い。 この試合で、WBがボールを持てるシチュエーションは多かった。 ただボールが渡るだけでなく、前を向いた状態で渡ることが多かった。 なので、縦に突破でもできればチャンスにつながる。 しかし、WBの選手の質の問題もあり、そういう形でのチャンスはそこまで多くなかった。 たぶん、だからこそ両チームともこの戦い方を選択したとも言える。 例えば、昨シーズン徳島にいた馬渡、ヴェルディの安西のような選手がWBとしていたら、同じ戦い方を選択できたかというと難しい。 でも、中央への警戒心は高く、中央突破は難しく、サイドにボールが流れる。 鍵はサイドをどう攻略するか。 私は試合を観ながら、どういう攻略がいいかを考えた。 攻略①WBでサイドを崩す 先ほど、WBの質の問題でなかなかチャンスが生まれなかったという結果を書いてしまったが、それでもこれが一番シンプルな解決法ではあった。 サイドを崩せれば、必然的に中央の陣形も乱れる。 選手の質的に攻略法としては、難易度が高いものとなってしまったが、それでもこれで戦況が変わる可能性があることは捨てれなかった。 攻略②グループでサイドを崩す 攻略①は個人の力に頼る部分が大きかったが、こっちは複数。 WB一人で厳しいなら、複数で崩そうというこれまたシンプル理由。 攻略③サイドを起点に中央を崩す 中央が一番ゴールへのルートとしては最短ではあるが、当然そこは強固である。 なので、とりあえずは一番手薄になっているサイドにボールを運ぶ。 1.jpg ボールがこの位置にあるのに守備側がこのままの配置だとおかしいので、動きます。 1.jpg 中盤はボールサイドにスライドし、ディフェンスラインはカバーを考えスライドしながらも、LWBの斜め後ろに移動する。 1.jpg この状況だと、まだ中央は堅いです。 ただ、両チームとも奪えると判断すれば複数で奪いにいくときもあります。 1.jpg CHがボールホルダーまで来ると、随分と様子が変わります。 この状況なら、スライドが間に合わないスピードで逆サイドのHSにいるCHまでボールを運ぶ(理想は一発で)ことで縦にボールを運べたり、 1.jpg あえてショートパスでボールを動かし、サイドに向けて運びながら逆サイドを意識させつつFWに縦パスを通すといったことができるだろう。 1.jpg ゴールの決め手はポジショニングとボディアングル 結論から言えば、攻略③に近い形でゴールは埋まれた。 このゴールで重要だったのはWBの位置と杉本太郎のボディアングルだったと思う。 1.png ポジショナルプレーという言葉が浸透してきて、選手のポジショニングの重要性が少しずつではあるが広まっているように感じる。 22番(広瀬)がサイドにポジショニングすることで発生する徳島のメリットは2つ。 ・中央を警戒する大分の選手の意識を外に向ける可能性を生む ・大分の選手が全く警戒してこなければ、サイドでフリーでボールを受けることができる 1.png ボールホルダーの10番(杉本太郎)は、22番に完全にボディアングルを向ける。 これによって、先ほどのメリットに上げた1つ目の意識の部分がさらに強まり、3番(那須川)を動かすことに成功している(1つ目の画像と比べて、横の選手との距離が広がっている)。 1.png さらにボールホルダー周辺の選手も外に意識がいくことで縦へのパスコースが生まれる。 その結果10番→36番(表原)に縦パスが入る。 そこからは36番→32番(小西)とつながっていき、32番の逆をとる素晴らしいタッチもありゴールとなるのだが、32番の一連の流れを観ると、大分の3番を動かしたことの大きな意味を感じた。 1.png もし、3番がサイドに釣られずに中央にいたら、今回のような逆のとられ方はされにくかったと思う。 なぜなら、32番に対応した6番(福森)は3番が横にいれば、そちらのサイドに誘導するような対応をすれば挟み込めて、ボールを奪える可能性があったからだ(つまり、自分がやるべきことを限定でき、対応がイージーになった)。 しかし、3番はいないため、結果的に右も左も警戒しないといけない状況に陥ってしまった。 こういった理由から、ポジショニングとボディアングルがゴールの決め手となったと判断したのであった。 雑感 非常に好ゲームで、改めてJ2魔境っぷりを感じさせられた。 磐田も532(541)を使うが、システムは同じでも、チームとしての質に差を感じました。 大分をしっかりと観たのは、この試合がもしかしたら今シーズンは初めてだったかもしれない。 いいチームだという評判は耳に入っていたが、評判通りのチームだった。 ただ、これはJ2チームによくあることなのだが、スコアラーがいないために肝心のゴールが決まらないという現象だ。 確かに大分の方がチャンスはあり、負けに値する内容ではなかったが「得点しないと勝てない」という当たり前だけど厳しい現実を突きつけられる試合ではあった。 一方徳島は、日程や選手の問題もあり、昨シーズンに比べアグレッシブさは少し欠けている。 記者会見、2人の知将との対話。感謝と違和感、そして“ある想い” | footballista.jp ロドリゲス監督からしたら、もしかしたら自身の哲学に反するのかもわからないが、勝つためにどうすることが一番なのかを考えて、それを実行できることに優秀さを感じる。 J1クラブが来シーズンに向けてこの監督を放っておくとも考えにくいので、徳島にはJ1に昇格して、どこまで通用するのかをぜひとも見せてもらいたいとこだ。 それでは。