Jリーグからのベルギー派遣コーチに聞く「欧州の育成は何が違うか」

Jリーグからのベルギー派遣コーチに聞く「欧州の育成は何が違うか」

抜粋元:https://sportiva.shueisha.co.jp/clm/football/jleague_other/2017/07/07/post_33/index.php

――練習には真剣に取り組んでいますか?

「基本的には真剣ですし、”自分の時間”として捉えています。でも、メニューは選びますね。ゲーム形式は大好きです。

 アンデルレヒトはスキルトレーニングがしっかりしていて、ここまでやるかというぐらい、すごくいいメニューがたくさんあるんです。それはクラブのフィロソフィーにつながっていて、うちはこういう選手を輩出したい。そのためにはこういったテクニック、タクティクス、フィジカルが必要で、それにつながるスキルエクササイズがある。

 日本だと、好きでサッカーを始めて、自分でいろいろとチャレンジしながら自分で気づいていくのが望ましい。基本技術の練習もちゃんとやりますが、こういうのが大事だよ、だから身につけようね、というスタンスなんです。でもこちらでは、こういうのが大事だぞ、だからこれをやれと言ってやらせます。かなり細かく、『この技術でコントロールしてパスしたら、こっちに走れ、なぜならここから斜めにボール受けられるだろう』『ボールを受けた時に右足のインサイドでコントロールしなさい、なぜなら視野が広がるだろう』と、叩き込むんです。判断を奪うメニューも多いです。サッカーをする上での土台作りを徹底的に、という感じです。

でもその分、しっかりと理論が整理されているし、子供たちも年齢が低いから言われたことはどんどんやって吸収していくんです。そして年齢が上がるにつれて、それを使ってどうプレーするのかを考えるようになっていくという感じです。日本では、子供のころは自分が気づいたことをイメージを持ってやってごらんといって始めるんですけど、年齢とともにああしろ、こうしろと言うようになる。そうすると、言われた時に引き出しがないということが起きる」

――教える順序が逆なんですか?

「とにかく高いレベルでできることをいっぱい増やしていって、年齢が上がるにつれてそのときどきのシチュエーションで選びなさいというようなスタンスです。それにこちらの子供たちは、叩き込んでも自分のやりたいことも積極的にやるんですよ」

――日本人は言われたことに終始しがちですよね。

「そう。だから、日本で同じテンションで同じように指導したら、それはそれでまた問題点も出てくると思うんです。言われたことしかやらない選手も出てきそうですしね。でもその傾向はサッカーだけじゃないと思う。どのくらいのさじ加減がベストなのか、わからない。しかも個人によっても違うじゃないですか。だからそのあたりは結論が出ないというか……」

<抜粋おわり>