マリノスvs磐田の失点シーンを振り返る(3失点目)
3失点目もやるよー。
(前回までの記事はこちら:1失点目、2失点目)
3失点目
(61:45~61:50)
失点してもおかしくない攻撃を喰らいましたが、なんとかカミックがキャッチして終わらせることができました。磐田の特徴として、1失点目もそうですが、準備が整っていないのにボールを動かしてしまうところがあります。たまたま1失点目もゴールキックからだったのでカミックの責任に思われる方ももしかしたらいるかもしれませんが違います。たぶん、磐田には明確にこういうときはこうするというチーム全員で共有ビルドアップする形がありません。なので、これはチームで共有しているビルドアップ?とは個人的に思っていないのですが、あくまで多く観られるパターンとしては後ろが無理なら大きく前に蹴る。近くでフリーの選手がいるなら渡す。この2つが多いかなと思います。今回だと後者でした。
(61:50~61:56)
磐田は多くのパスを使ってゴールまでボールを運ぶのではなく、少ない本数でゴールまで運ぶスタイルです。だから、大記も早く縦パスをつけようとしたのだと思います。しかし、これは磐田がずっと抱えている問題なのですが、陣形が回復する前にどんどんボールを前に運ぼうとしてしまうことがあります。もちろんカウンターで、味方の陣形の回復を待たずに手数を掛けず速く攻めた方がいい状況もあるのですが、今回はカミックがキャッチしてから数秒時間も経過しており、マリノスはすでに守る準備ができています。
(61:56~62:10)
ここでも磐田のマンツーマンディフェンスが故の問題が起きています。仲川についていった新里のスペースをディフェンスラインがスライドして埋めようと意思が感じられません(マンツーマンディフェンスの意識(監督からの要求?)が強くスペースの危機管理が希薄)。大記が下がってしまうと、バイタルを泰士1人で守るという人間やめた選手でしか遂行できない状態になってしまうので、ここかはディフェンスラインがスライドしないといけません。名波さんは横のスライドについてちょいちょい言及するのですが、一般的なゾーンディフェンスにおける横のスライドを指して言ってるかは微妙なところです。
さらにジェルソンのポジショニングにも問題があります。カウンターのために少しでも前にいたい(チームとしてもよしとしている可能性あり)のは理解できるのですが、ジェルソンがマルコスのパスコースを切れるところまで移動していれば、マルコスへのパスは起きていませんでした。戻るだけの時間は十分にありましたし、ここでしっかりと戻れていればPKもなかったかもしれません(たらればですが)。ジェルソンとアダが中途半端にカウンターに早く行けるような前目のポジショニングをするのですが、5バックに基本的になるため、それだと泰士と大記でバイタルをケアしないといけなくなります。名波さんはただ多くの選手を置くような5バックはなしない(ただ受け身にならない)みたいな発言をするのですが、個人的な意見としては、基本は受け身だし、無謀にアタックすることが能動的というのなら、それは大きな間違いかと思います。7人+カミックがいればなんとか守るでしょうというある種神頼みのようなものを感じなくもないです。
(62:10~62:25)
2人で中盤のケアをしないといけないため、簡単にFWへの縦パスを許してしまいました。ここは個々の選手の頑張りで、とりあえずボックスからボールを遠ざけることができました。
しかし、そのボールも相手に拾われてしまいました。しかも、結構難しい状況だったのですがティーラトンがしっかりと味方に繋げてきました(磐田はこういうところでアバウトなボールになるのを期待しているので非常にキツイ)。ボールはサイドで待つ遠藤に渡ります。このときにティーラトンがインナーラップをしてきます。裏に走るティーラトンに対しては、CBの大井がカバーすることに。ティーラトンが蹴ったボールが手に当たりハンドとなりPKとなりました。
では、このティーラトンに対してどう対応するのがよかったかを考えたい。まずクリアボールをティーラトンと競り合った昌也は体の向きからしてティーラトンが走り出していることに気づいていない。競り合った選手が最初にボール方向に体を向けるのは自然だと思うので、これは仕方ないと思います。となると次に出てくるのはRCBの祥平。祥平がティーラトンが走っているのを気づいているかは映像からは判断が難しいのですが、遠藤との距離の空け方から推測すると気づいていたのではと思います。遠藤がドリブルしてきても対応でき、かつティーラトンへの裏へのパスもケアするというポジショニングのように観えました。となると、次に出てくるのは泰士です。目の前を走っていく姿を間違いなく確認しています。「ということは泰士やな!サボるな!!」とはなりません。映像を観ればわかるのですが、泰士は首を振って後ろの状況を確認しています。たぶん、大井の存在を確認できたので、裏に出されたら大井に対応させればいいと判断したのだと思います。さらに言うと、泰士がここでティーラトンについていってしまうとバイタルを大記1人で対応しないといけなくなります。なので、泰士の対応も間違ってはいません。ここでもアダとジェルソンはボックス近くまで戻る気配はありません。なので、個人的な結論としては、ティーラトンに走られた時点から失点してもなんら不思議でない状況だったのだと思います。
なんで、アダとジェルソンをもっと守備に参加させないのかと疑問に感じます。もし、今回のようなポジショニングが個々の勝手な判断で、監督が要求することと真逆だとしたら、次の試合でベンチ(もしくはベンチ外)になってもおかしくないくらいのことをやっていると個人的には思います。しかし、この試合に限らず似たような現象はよく起きるし、アダとジェルソンは基本的にスタメンで使われるので、大きな問題点とは思われていないのでしょう。それよりも、前に居残る方が磐田としてはプラスになると判断されているのでしょう。
3失点目については以上となります。
3失点目もマリノスのオフェンスの質よりも、磐田のディフェンスの質の酷さが際立ちました。たぶん、この失点に関しても個々の頑張りで埋めていこうという結論なのでしょう。ロティーナが就任してまだ半年足らずのセレッソを観るとわかるのですが、半年あればある程度組織だったディフェンスはできます。ロティーナの手腕の高さももちろんあると思いますが、6シーズンも同じスタッフ陣でやっているチームのディフェンスではないのが今の磐田です。いくら個々の選手がプロレベルでも、それだけじゃ守れないということです。改めてサッカーはチームスポーツなんだということを教えてくれます。まぁ、そんなことを改めて教わりたくないし、本当にジュビロ磐田というチームがどんなチームになっていくのか、全く想像できません(悪い意味で)。(´Д`)ハァ…
終わり。
4失点目