今シーズンのJ1の順位を眺めながらの感想(16位~20位)

このシリーズの最終回です(過去の記事はこちら→第1回第2回第3回16位、湘南ベルマーレ 個人的に今なおチョウキジェの亡霊と戦っているように見える湘南。 約8シーズンに渡って監督を務め、ハードワークを武器にJ1に定着するクラブを作った偉大な監督。そんな偉大な監督がとある理由で去ってから約2年半ほど経っているが、その幻影に未だに苦しめられているように見えます。 昨シーズンは浮嶋監督で戦ったものも18位という本来であれば自動降格になってしまう結果になってしまいました。 今シーズンも続投となりましたが、結果を残せずにシーズン途中で解任となり、コーチであった山口さんが監督になりました。 トップチームに限らず、監督未経験ながらも残留という結果を残せたのは素晴らしかったです。来シーズンの続投もすでに発表されており、どういったチームを作るのか興味深いところです。 個人的に湘南で気になったのは田中聡と畑大雅です。どちらも若く、今オフにオファーがあってもおかしくない選手だと思います。湘南は予算の関係もあるのかもしれないけど、こういう若い選手を使うことに躊躇がない感じがして、そこは非常に好感をもっております。 17位、徳島ヴォルティス 個人的にJリーグ全体で一番フットボールにおいて欧州化が進んでいると思っている徳島。 ロドリゲス監督が浦和に引き抜かれ、後任に任せたのがポヤトス監督でした。レアルマドリードのユースなど主にスペインの育成年代で実績を積んできた監督です。 しかし、いきなり苦境に立たされました。コロナによって入国できずに直接指導をすることができませんでした。新監督においてプレシーズンに直接指導できないというハンディはあまりに大きいものでした。 前任と同じスペイン人監督とはいえ、全く同じスタイルというわけではなく、入国して直接指導ができるようになってからの試合をいくつか見ましたが、選手たちも新たなスタイルの適応に苦しんでいる印象でした。 結果的に勝ち点1差で降格となってしまいました。たらればの話はあまりしたくはないですが、最後の数試合を見ていると、もしシーズン始動のキャンプから直接指導できていたら、残留できるくらいの勝ち点は積めていたのではと思ってしまいます。それくらい中身のあるフットボールを披露していたと思います。 しかし、それと同時に個の質の部分ではJ1で安定して結果を出すには苦しい部分もあるなと感じました。徳島のチームとしての質は、たぶんJ1でも上位に入ると思っています。チームスポーツであるフットボールですが、それでも個の戦いは避けられません。他のチームと局面において個の戦いになったときにそこで優位に立てることがあまり多くなかったなと思いました。 選手の質の部分に関しては、クラブの資金力が大きく関係してくるので、すぐに解決できることでありません。育成するにせよ時間が掛かります。チームの質を上げることに成功してきた徳島がこの部分をどうやって解決してくのかは非常に興味深いです。 来シーズンもポヤトス監督の続投させるとの報道も出ており、クラブが結果だけで未来を左右されない状態になっているのは大変羨ましいです。 将来こういった苦しかった歴史が笑って語れるようなクラブになってほしいと願っております。 18位、大分トリニータ 片野坂体制6年目の大分。6年も同じ監督というのも凄いが、スタートがJ3だったということも凄いです。選手だけでなく、監督にもカテゴリーにおける壁のようなものはあり、J3では通じるけどJ2では厳しかったり、J2では通じるけどJ1では厳しかったりなどあります。 そういった意味で、どのカテゴリーでも結果を残してきた片野坂さんは本当に凄いと思います。 しかし、今シーズンは主力の引き抜きなどにより、チーム作りに苦労したようです。 今シーズンの大分について詳しく知りたい人は、私の感想よりも公式HPで監督本人や関係者がきっちりと語っているので、そちらを読んでいただいた方がいいかなと思います。 来シーズンは柏や横浜FCで指揮をしていた下平さんが監督にするとの報道がされています。力のある監督だと思うので、戦力次第では1年での返り咲きも十分可能かなと思います。 ただ、今シーズンの大宮のように歯車が噛み合わないと残留争いに巻き込まれるという可能性があるリーグでもあるので、最初の数試合が非常に重要になってくるかなと思います。 19位、ベガルタ仙台 木山体制でうまくいかずに、針を戻すかのように手倉森さんを招致した仙台。 昨シーズン長崎を率いていた手倉森さんですが、与えられた戦力に見合う成果は出せずに監督としてはだいぶ厳しくなってきる印象でした。なので、ここで手倉森さんに監督を任せるのは純粋にピッチ上の結果だけを考えれば、非常に疑問の残るものでした。 厳しい言い方になってしまいますが、19位という結果はサプライズでもなんでもなく、なるべくしてなったなという印象が強いです。 ただ、手倉森さん招致の理由は、たぶんクラブが抱えているお金の問題をクリアにするための部分が大きかったと思うので、他の人材を連れてくるのはなかなか難しかったのかなと思います。 来シーズンは手倉森体制のコーチであり、手倉森さんの解任後に暫定監督となっていた原崎さんの続投が決まっています。トップチームでの監督経験は今シーズンのみで、どれだけやれるかは未知数です。 東北からJ1クラブがいなくなってしまったので、1年での返り咲きが期待されます。 20位、横浜FC 昨シーズン昇格1年目に15位という結果を残し、仮に入れ替え戦があったとしてもストレートに残留が決まっていた横浜FC。 当然下平さんが続投となり、更なるステップアップが期待されたが、まさかの開幕から8戦で1分7敗という成績により解任となってしまいました。 後任はユースの監督であった早川さんに決まりました。個人的にシーズン途中にユースの監督を連れてくるのは非常に嫌いです(ユースの選手たちどうすんねんという)。 トップチームの監督の経験がない人にこの状況を任せるのは非常に難易度が高いと思いましたが、案の定厳しかったです。下平さんでここまで低迷することが想定外だったり、コロナによって外から監督を連れてくる資金がないなどいろいろと想像できますが、本気で残留したいのなら、他の人材だったかなと思います。 指導歴は横浜FCのみで、そういった意味では生え抜き的な存在の人材をこういった形で消費してしまうのはあまりにもったいないなと思いました。 すでに早川さんに続投する意思はないらしく(執筆後にコーチとして残るがことが発表)、後任人事も難航しているらしいです(執筆後に札幌のコーチだった四方田さんの監督就任が発表)。社長の退任や多くのコーチの満了がすでに発表されており、来シーズン大きく変わることは必然な状況となっております。 何人かの主力にはJ1クラブからオファーも来ているようなので、ストーブリーグからかなり厳しい戦いが予想されます。 <おわり>