Japan's way

日本代表.jpg ここ最近聞く頻度が増えた「Japan's way」という言葉。 自分の周りでは、あまり好意的な言葉には捉えられておらず、どちらかという否定的な意見が多い言葉だ。 しかし、Japan's wayという言葉、いまいち意味がよくわからない。 たぶんJapan's wayという言葉こそ知れど、みんなが同じ意味で理解していないと思う。 そんな中、非常に興味深い記事が流れてきた。 FC今治とジャパンズ・ウェイをつなぐもの 小野剛氏が語る「日本らしさ」の真の意味
《足りないものは高める努力をしつつも、世界基準よりも勝る日本人のストロングポイントをさらに伸ばしていき、それを活かして日本人らしいスタイルをもって戦っていくJapan's Wayとは、特定のチーム戦術、ゲーム戦術を指す言葉ではなく、日本人の良さを活かしたサッカーを目指すという考え方そのものであり、イメージの共有のための言葉です。》(「日本が進むべき方向性 Japan's Way」より)
特定の戦術とかのことではないけど、日本人の良さを活かしたサッカーを目指すという考え方そのもであり、イメージの共有のための言葉というなんとも日本人らしいというか、ふわっとした言葉だ。 しかし、このJapan's wayという言葉、記事によると2006年頃にすでに誕生しているらしい。
私が田嶋さんの後任として技術委員長となったのは、06年のW杯が終わって新体制になってからでした。この時の『JFA Technical news』で、私はこのように大会を総括しています。《日本人の特長を生かした、日本人としての闘い方を追求していく。「全員がハードワークする」というこの傾向は、日本人が特性として最も力を発揮できる部分であると考えている。》──これが「ジャパンズ・ウェイ」という考え方のベースとなりました。
海外のトップレベルのサッカーを観ている、全員がハードワークをするなど当たり前であり、多少サボれる選手はそれだけ特別なクオリティがあることと、チームがそれを補える力があることが条件になってくる。しかし、特別なクオリティをもつ選手といえども、サボられると大きな穴になってしまうことも少なく、上のレベルにいくためにハードワークは必須条件となっていくだろうと思っている。なので、日本人のハードワークが違いを生み出せるのかは疑問に感じる。
私が初めて「ジャパンズ・ウェイ」という言葉を使ったのが、06年の11月だったと思います。千葉県で技術委員会の合宿をやったのですが、その時に作成したパワーポイントに残っていました。この時の合宿には、アカデミーダイレクターの布(啓一郎)さん、女子の上田(栄治)さん、あと風間八宏さんもいましたね。そういう面々で「日本のサッカーはこれからどういう方向へ進むべきか」ということを、1泊2日で話し合ったんですね。そこでキーワードとなったのが「ジャパンズ・ウェイ」と「打って出る」でした。
「あっ、このメンツ…(寒気)」 メンツを見ることで。Japan's wayという言葉の意味がなんとなくわかってきました。
「ドイツはこうだからこうしないと」とか、「オランダのこういうところを取り入れないと」とか、コピー&ペースト的な論調が当時はたくさんありました。でもわれわれは日本人であり、日本には日本の良さがある。「足りないからダメだ」じゃなくて、日本ならではの良さで世界に打って出る。そして勝っていく。そういった「ジャパンズ・ウェイで打って出る」ということを、1泊2日の合宿の中で徹底的に話し合った記憶があります。
2006年段階で外から吸収することよりも、日本人のオリジナリティにこだわったと。現状と繋がってきます。
06年は、ちょうどイビチャ・オシムさんが代表監督に就任したタイミングでした。オシムさんといえば「日本サッカーを日本化する。すなわち、私の大きな仕事はジャパナイゼーションだ」という言葉でした。なぜ「ジャパナイゼーション」なのか。要するに「日本には日本の良さがある」ということ。これは裏返せば、「なぜ日本人は良いものを持っているのに、他国のものをコピー&ペーストしようとするのか?」という彼なりの皮肉だったんですよね。
ここでオシムの登場。そして、オシムが日本化を宣言したことによりJapan's wayに迷いなく進むことになると。歴史は繋がっている…
結局のところ「ジャパンズ・ウェイ」というのは、システムとか戦術の話ではない。考え方なんです。日本のプレースタイル、あるいは日本独自の育成の方式、それらをひっくるめての考え方。「足りないからダメなんだ、という発想をもう止めましょう」という考え方なんですね。われわれはこれまで、日本本来の良さというものがなかなか見えてこなかった。でも外側から見てみると、われわれが考えている以上に「実は対戦相手は、日本のこういうところを脅威に感じている」ということを知るわけです。
これは冒頭の話と繋がっています。
(スペインの優勝は)岡田さんにも大きな影響を与えたと思いますよ。「なるほど。体格で劣っていても、やり方次第では勝てるんだな」と。あるいは「日本人に向いているサッカーを突き詰めれば、絶対に(世界に)勝てるはずだ」と。ここで勇気を得た岡田さんは、「接近・展開・連続」というフレーズを使うようになります。ヒントとなったのは、早稲田のラグビー部の監督だった、大西鐵之祐さん(故人)の言葉です。これもまた、岡田さんが考えるジャパンズ・ウェイだったと思います。
スペインは他国の要素を色々と取り組んでできた形だとリージョやロティーナが言ってた。ズレてきている…
この対談は、スペインがユーロで優勝した直後に行われている。よって小野氏が指摘するように、岡田氏をはじめ技術委員会に「日本人に向いているサッカーを突き詰めれば、絶対に(世界に)勝てるはずだ」という認識が広がっていったことは、この対談から読み取ることができる。ところが10年のW杯の総括記事の中には、あれほど強調されていた「Japan's Way」の文字がまったく見当たらない。その理由は、自明であろう。  その後、原博実氏を長とする新体制の技術委員会がスタートすると、やがて「ジャパンズ・ウェイ」という言葉は聞かれなくなっていく。おそらく日本代表が、3代にわたって外国人監督に率いられたことも影響していたのではないか。そういえばオシム氏は外国人監督について「『君たちのポテンシャルは高いんだよ』と思っている人でないとダメだろう」と語っていたという。今年4月に起こった突然の監督交代と重ねると、オシム氏の言葉は実に暗示的である。
日本独自路線に進みたいのに欧州路線に進もうとする原さんの体制に不満を抱いていた人は少なくなかったのかもしれない。だって「これこそが正しい道だ!」と思っていたら「いやいや、全然違うよ。ダメダメ。」と言われれば、それは怒るし、どうやって元の道に戻すかと考えてもおかしくない。だって、そっちの道こそが正しいと思っているのだから。そして、ようやくもう1度その道に進める体制になったのであった… さて、この記事を読むだけで、Japan's wayという言葉だけでなく、ここ最近の日本サッカーの歴史もわかってしまうという良記事でした。 この記事を読んでも、私はJapan's wayという言葉に否定的ではあるが、JFAとしてはこの道こそが正しいと間違いなく思っている。 しかし、それに反してJリーグではスペイン人の監督が増えたりと、積極的に国外のエッセンスを取り入れようとするクラブが増えてきている。 仮にJリーグがどんどんと日本基準から欧州基準のサッカーにシフトすることとなれば、JFAがやりたいことと選手の特徴はズレていくだろう。 今までは日本基準のサッカーに対応できる選手ばかりだったが、それに対応できない選手も出てくるかもしれない。 そういえば今のJリーグ日本プロサッカーリーグ副理事長は原さんですね。 そして、JFAの会長は田嶋。 さてどうなりますかね(ゲス顔)。 それでは。