松本昌也の移籍

磐田のレジェンドに数えてもいい松本昌也(以下昌也)の突然の移籍が決まりました。

市場が開いていれば起こりえることとはいえ、シーズン開幕しちゃうと戦力に数えられているであろう選手の移籍はないだろうと思ってしまいますが、そんなことはないということです。

金曜の夜に「公式ショップで昌也のユニが注文できなくなっている」とのツイートが流れてきました。

移籍済みという文言も書かれていました。

ただ、夜も遅く、その時点では管理側のミスかもわからなかったので、とりあえずスルーしました。

しかし、次の日になっても、公式から特にお知らせもない。

ただのミスであればすぐに公式からリリースが出ると思います。

そして、鳥栖戦のメンバーに昌也はいませんでした。

この2つが重なったことで、ある程度の覚悟は必要だと思いました。

そして、2025年2月23日に在籍歴8年の選手の移籍が正式に発表されました。

 

移籍に関しては「強化・編成視点」と「ビジネス視点」と「選手視点」で見る必要があると思います。

強化・編成視点はピッチ上でどれだけ貢献度できるのか、その選手を抱えることで編成への影響力がどれほどあるのか。

ビジネス視点は、この移籍によって経済的にクラブにどんな影響があるのか。

選手視点は、選手の視点からだと、今回の移籍がどう映るか。

この3つの視点から今回の移籍について書いていこうかと思います。

強化・編成

  • 複数のポジションで最低限のパフォーマンスを期待できる(トップ下、ボランチ、SB)。
  • リーダーシップをとれる。
  • 貢献度の高いベテランと円満にお別れできる

 

複数ポジション

昌也は理解力が高いため、複数のポジションをこなすことができます。

今シーズンの磐田では、ファーストチョイスにはなっていませんでしたが、複数のポジションをできる選手がいることで、監督からすれば戦う幅が広がってきます。

また、まだシーズンは始まったばかりで、今後スタメンを奪う可能性も全然ありました。

しかし、今シーズンから磐田が433を採用したことで、昌也がファーストチョイスになりにくくなったという現実があります。

昨シーズンはSHが多かったですが、そのポジションがなくなり、純粋なWGタイプがサイドの攻撃的なポジションには必要となりました。

ボランチもできますが、このポジションを専門にやっている選手を既に多く抱えているため、このポジションでファーストチョイスになるという可能性は極めて低いです。

SBですが、右は川口、左は松原がいて、サブにも若手の植村や吉村(強化指定)がいます。

このポジションが一番出れる可能性が高いですが、それでもファーストチョイスになりやすいかというと難しいところだと思います。

 

リーダーシップ

8年の在籍歴のある30歳の選手で、選手会長を任せられる人間性

どんな監督でも最終的には信用される(つまりトレーニングで手を抜かない)。

これだけで外から見えるところ(ピッチ上)と見えないところ(ピッチ外)での影響力の高さを感じるかと思います。

 

貢献度の高いベテランと円満にお別れできる

これは編成としての視点ですが、貢献度の高いベテランとの別れ方は非常に気を使うものです。

冷たく切ろうものなら、選手の間でクラブの悪い評判が広まることでしょう。

選手が新たなチャンスを望んでいて(移籍希望)、クラブとしても放出条件が悪くないとなれば、後腐れなくお別れすることができます。

今回はそこがマッチしたと思っています。

 

まとめるとリーダーシップがとれて、複数ポジションで使えるという利便性はありながらも、どのポジションでもファーストチョイスになりにくく、一番使われる可能性が高いポジションには期待の若手がいて、同じくらいのパフォーマンスの期待値なら若手が優先されそうというのが昌也の立ち位置かと思いました。

そんな選手をクラブは悪くない条件で放出できるという状況になり、この移籍が成立したと考えられます。

 

ビジネス

  • 違約金の発生。
  • 年俸が浮く。
違約金の発生

プロフットボールクラブにおいて、お金を無視することは不可能です。

今回の移籍は契約期間中に起きました。

つまり違約金が発生します。

磐田が昌也を低く評価していたとは考えにくいので、違約金設定していれば満額、設定していないとすればクラブが納得する額を提示されたはずです。

30歳で、絶対的主力ではない選手に違約金の発生する取引ができるのは、クラブとしてメリットも小さくありません。

 

年俸が浮く

これまでの昌也の貢献度を考えれば、年俸がクラブの中で高い方であったと考えられます。

その年俸が浮くことにもなり、経済的なプラスは少なくありません。

 

まとめると、今回の移籍が成立することが起きるビジネス的メリットは大きいと思いました。

 

選手視点

  • J1でプレーできる。
  • 磐田だとピッチ上で(主力として)活きにくい。
  • 違約金が発生する。
  • 拠点が地元の大分に近くなる。
J1でプレーできる

どんな選手でも上のカテゴリーでやりたいと思うのは自然なことです。

若手であれば、カテゴリーよりも自分が主力で活躍できるクラブ(活躍してステップアップすればいい)を選ぶ傾向にありますが、ベテランになってくるとチャンスがあれば上のカテゴリーでやりたいという思いが一層強くなると考えられます(チャンスがある可能性が若手より圧倒的に下がるため)。

磐田で昇格して、J1に再挑戦するという道もありますが、磐田が昇格するかもわからないのと、昌也が来シーズンも磐田にいることができるかもわかりません。

そう考えると、30歳のタイミングでJ1でプレーができることは非常に魅力的に感じると思われます。

 

磐田だとピッチ上で(主力として)活きにくい

理由は強化・編成視点で書いた通りです。

 

違約金が発生する

サポーターというのはフリーで戦力になる選手が出て行かれるのを非常に嫌います。

「チームが力を必要としているのに、(形に残るものとして)何も残さずに出て行くのかよ!!」という好きだからこその憎しみのような負の感情が発生しやすいです。

しかし、違約金が発生すると、その感情も生まれにくくなります。

選手としても、お世話になったクラブに形に残るものとして、何も残さずに出て行くというのは、ほとんどの選手の心情からするとできれば避けたいことです。

 

拠点が地元の大分に近くなる

移籍先の岡山は磐田よりも、昌也の地元である大分に近くなります。

選手によってはいろいろな事情で地元の近くに住むことを望むことがあります。

今回の移籍にそういった要素が絡んだかはわかりませんが、地元が近くなることにデメリットはあまりないと思われます。

 

まとめ

上記に述べたように基本的に今回の移籍はポジティブな要素が多かったと個人的には思っています。

どの視点から見ても、ネガティブな要素が少ないという移籍はなかなか起こりにくいです。

一つ残念なことがあるとすれば、8年も在籍した選手とサポーターにスタジアムでお別れの機会がないことでしょう。

こればかりは仕方ないことですが、直接感謝を伝えたい人は少なくないと思います。

おそらくこれまでも他クラブからオファーがあったタイミングはあったと思います。

それでも磐田で8年も戦ってくれたことに感謝したいです。

来シーズンJ1で会えることを願っています!!

ありがとう、松本昌也!!

(愛されてるな!!)

<おわり>